野獣死すべし・考察

野獣死すべし...と聞くとどうしても「先輩」という文字をつけたしたくなる今日この頃...

 

この映画は松田優作の怪演で知られています

役作りに体重を10キロ落とし(正確には8キロと言われている)

奥歯を4本抜いて頬のへこみを再現し

役の身長に合わせるため「できれば足を5センチ切りたい」とまで言ったそうです

 

映画としては起承転結がはっきりしておらず映画とは言えないんじゃないの・・・?という意見も少なくはなく舞台という言いかたもされる珍しい映画です

 

今回は野獣死すべしの考察をします(ラストシーン)

 

ネタバレありだよ!!

 

 

 

 

野獣死すべし

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さて野獣死すべし、という映画はとても不気味で奇妙であり神秘的でもある意味不明な映画です

 

元戦場カメラマンの伊達は日本に帰って来てからはおとなしく真面目に暮らしているわけですが裏では野獣のような鋭い眼光...狂気を抱えて行きているわけです

それが冒頭の刑事殺害に繋がるものです

 

そこから伊達は家でクラッシック音楽に没頭し「もう1人欲しい」という謎のタイピングを残す...

 

ここで刑事殺害の犯人として伊達を疑う柏木刑事が今後の伊達を追い回す...というストーリーですね

 

ストーリー自体が難解...

まずこの映画全体が本当に難解です

 

まず伊達という人物は何者なのか

戦場へと行った伊達がそこで見た景色、行動が人間としての彼を奪い人間を超えた神でも悪魔でもない存在、野獣へと化した...

という解釈もできます

 

が...彼は戦場で人を撃った...とも行っており彼の相棒、というか弟子に育て上げた「真田」

に対して「人を撃った快感を恐れてる。」という発言もあったことから神も悪魔も知らない快感を伊達は手に入れ、それを誰かに伝えたかった...というなんとも残酷で悲しいものだったとも言えるわけです

唯一の理解者「真田」を伊達は創り上げたのです

しかしその真田も結局は伊達に撃たれて殺される...。

ん〜伊達の目的はなんだったのか。

それがあの映画史に残る最も難解なラストとも言われる伊達が倒れこむシーン

 

詳しくそこまでの補足を入れると

伊達!真田と出会う。

真田に銃の使い方、動く標的の撃ち方を教える

伊達&真田!銀行強盗!

伊達&真田!逃走!

柏木刑事!伊達を疑う!

伊達!柏木刑事を追い込む!

伊達!柏木刑事射殺

伊達!野獣と化す

伊達!コンサート会場から出る

 

そしてラスト

コンサート会場から出た伊達は突然倒れこむ

その先には柏木刑事がいた

そして伊達は階段から崩れ落ちる

で終わると

 

あそこに答えがあるんじゃないか

と僕は思ったわけでラストをいろいろ考察してみました

 

1.マジで柏木刑事生きてた

伊達は倒れこむ時に柏木刑事を見ます

彼は銀行強盗の犯人として伊達を疑い殺されています

なぜ生きていたのかは不明ですが本当に殺された...という解釈

 

2.伊達に柏木刑事は恐怖だった。

銀行強盗や殺人を繰り返し野獣と化した伊達はコンサート会場から出てホッとした瞬間自分を徹底的に追い詰めた柏木刑事を思い出し(フラッシュバッグ)動揺した

つまり柏木刑事は幻影で突如脳裏に彼が浮かび「ファ!?」ということです

恐怖から逃げるためもう1人の自分を配置することで逃れようと考えた...という

 

3.人間に戻れない。

野獣と化した伊達は閉鎖的なコンサート会場に向かった

そして外に出た

そのいつも通りの平凡な人間としての生活に戻れなかった...という説です

 

人間を装って生きていた伊達は野獣に変わるために真田を理解者として創り仲間意識を作り上げた

1人ではない!怖くない!

ということで野獣と化し暴れた

だが真田が起こした行動を見て戦場の辛い記憶が戻った

人間としての正義感を少し取り戻し野獣真田を殺した

そして落ち着きを取り戻すためにコンサート会場に行った

そのコンサート会場で人間の落ち着きを手に入れようと...

 

外に出て太陽の陽を浴び人間に戻った、と思った瞬間人間としての自分に違和感を感じ野獣にも人間にも戻れない...そんな状況に陥り完全に崩壊した...という解釈

 

コンサートから出る前に二度「あ」と大きな声で発声します

これが人間に戻る前の発声練習的な意味だと解釈できます

 

4.リップヴァンウィンクル

伊達は柏木刑事にリップヴァンウィンクルの話を聞かせる

内容は

森に狩りをしに行った

そこで小人に出会った(名前は忘れた

お酒をごちそうになった

あまりに美味しく酔っ払い眠りに落ち、夢を見た

 

「寒いですか?寒いでしょう」

 

その夢はどんな狩りも許される素晴らしい夢

その夢のクライマックスで目が覚めた

目覚めると小人はいなかった

森の様子も変わっていた

ウィンクルは妻に会うため村に戻った

ところが妻はとっくの昔に死んでいた

村の様子も変わっていた

ウィンクルは眠ってる間に何十年の歳月が経っていた

 

「面白いでしょう?」

 

そして

柏木「あんたにははじめっから妻がいなかったじゃないか」

伊達「僕の話をしているわけじゃないでしょう?」

柏木「なんて酒をもらった?飲んでみたいなぁ」

伊達「ラム、コァントロ、それにレモンジュースを少々シェイクするんです。わかりまか?」

柏木「X、Y、Z」

伊達「そう、これで終わりって酒だ」

 

という会話、この映画の名シーンです

このリップヴァンウィンクルの話は自分の話、という解釈

クライマックスで目が覚めた

 

伊達もそうです

さんざん暴れた後コンサート会場に移ります

つまり夢だった・・・という解釈もあるわけです

しかしなぜ柏木刑事が現れたのか・・・夢じゃないのでは・・・?という考えもできます

伊達は戦場で悲惨な写真しかとっていない、何かにとりつかれたように・・・

 

そこで人を撃ち快楽を知った・・・という話もしています

この美味しい美味しいお酒で気持ちよく酔っ払い狩りが許される

お酒のような快楽、つまり

お酒=殺すこと

伊達は人を殺した感覚をお酒にたとえた

 

目が覚めたら森の様子が変わってた

夢から覚めるというのは戦場から平和な日本に帰国した

そこではもちろん森も村も様子が変わっているんです

戦場は夢だった・・・なんでこの平和な世界は・・・馬鹿じゃないか

という考えに陥ったという解釈です

 

ここまでならわかりますが柏木の妻の話

あそこが何かねぇ・・・

わかりそうでわからない

伊達は銀行強盗の際に一般市民で唯一殺した華田令子に好かれていた(?)と思うんです

それにおびえるように伊達は身を隠したりしていた

妻の話につながりそうでつながらないのです・・・・・

 

終わり

ということでかなり難解な映画に仕上がった「野獣死すべし

この映画は狂気に満ち溢れた魅力ある映画です

最後まで何が起こっているか理解できない状況に陥ります

見ていると伊達が安っぽい神に見え始めそれを軸に登場人物は操作されているようにも見えます

なかなか神秘的というか深い映画でした

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