黒澤明の白痴

とある事情でカットされた映画は公開から何年か経った後にディレクターズカットとうって世に出回ることがあります。

例えばワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ

監督の手で編集されたものは、アメリカで上映されず、時系列をめちゃくちゃにされたうえに、音楽をつけ忘れるという見事なクソ編集により数多くの賞を逃しました。

その後、監督の手で自ら編集した完全版により復活を遂げて、またまたその後エクステンデッド版として完全版に20分ほどのシーンを付け加えたものが収録されました。

しかし!

中にはカットされたまま姿を消す映画が存在します。

例えばオーソン・ウェルズ監督の偉大なるアンバーソン家の人々

色々あってカットだけでは済まされず、助監督による再撮影によってラストまで変更されました。しかもオリジナルネガはすみやかに廃棄されたので、もう二度と観ることができません。

ちなみにオーソン・ウェルズ監督の黒い罠も同様の被害にあっています。完全修復版として再公開されましたが、やはり完璧に戻すことはできず、不完全な状態となってしまいました。

黒澤明監督の白痴はそんな映画です。

白痴

本来は前編後編で公開されるはずだったけれど、色々製作中に変わってしまい、一本にまとめられて、結果4時間26分。しかしそれでは長いと。ここで大きくカットされてしまい3時間2分となってしまいました。

この3時間は公開されたそうです。ただ評価があまりに低かったため、さらに切ってしまおうと、恐ろしい考えに。

そして現在観れる2時間46分となってしまったのです。

なんで評価低いから切るって発想になるんですかね...。オーソン・ウェルズ黒い罠も同じ理由で切られています。

 

さてこうして現在世に出回る黒澤明の白痴。

黒澤明作品の中では評価が低く、話にも出ない、なんてことも。

私はこの白痴は大変素晴らしい映画であると思います。

理由はいくつかありますが、やはり大きいのは白痴というドストエフスキーの世界が日本の北海道で完璧に再現・展開されているからです。

これがオリジナルの白痴だ!って渡されてもすんなり受け入れてしまうほど、完璧なのです。

これは白痴の解釈が同じであるから、という個人の感想でもありますが。

と、悪い作品ではないんです。

ただ!

冒頭は鬼のテロップ攻撃!!!

今から何が起きるか、いや、何があったか。

彼らは何者なのか、なぜここにいるのか。

全部テロップ!!!

見事にカットされてしまっています。

第一部・第二部の構成でおそらく、本来の前編後編。

この第一部が鬼のようにカットされているため、初見では理解しにくい。

そこで、黒澤明の白痴を観る前に見るべきドストエフスキーの白痴。

これを見れば混乱なく、見届けることができます。

という黒澤明の白痴。

ではカットされた部分はどこにあるのか。

様々な説がありますが、私はもうないと思います。

考えにくいけど、監督自身でどこかに隠したか、縦に切ったか...。

これがオリジナルだ!って公開しようとした話も、そもそも白痴が再び監督の口から上がったことを私が見たことないので。もしかしたら私の知識不足かもしれません。

 

以上黒澤明の白痴でした。

ドストエフスキーが好きな方、独特の世界観に引き込まれたい方は是非!

字幕はあった方がいいと思います。

やらかした続編・ゴッドファーザーPART3

二作連続のオスカー受賞を成し遂げた唯一の作品ゴッドファーザー

今回はその続編、ゴッドファーザーPART3がなぜ、やらかしたのか。原因を考えていきます。

ゴッド・ファーザー PART3 (字幕版)

タイトルと内容が別物

PART2から長い年月を得て製作されたPART3は、ファンの中でも好き嫌いが分かれる作品です。

 

続編でありながら、連続でオスカーを獲得することとなったPART2は、ゴッドファーザーから受け継がれる物語の完成度が続編として、高い完成度を持っています。

そしてタイトルのPART2の意味もしっかりと反映されています。

しかしPART3はPART2からつながるものは、ただ登場人物のみ。

ゴッドファーザーというタイトルの意味さえ薄れています。

 

本来は「マイケル・コルレオーネ」の名前を使ったタイトルが予定されていたそうです。

 

つまりゴッドファーザーの物語に直接的につながるものはないのです。

ではなぜPART3なのか。

それはPART2が売れすぎた。というのが一番の理由かと思います。

 

タイトルが「マイケル・コルレオーネ」となっており、ゴッドファーザーの文字もなければ、客は集まらないし、名前のブランド力が生かされるわけでもない。

お金のことを考えればPART3とうって、幅広い客層を狙うほうが賢明です。

PART2から何年もたっていますからね。

長い年月を置いた分、ゴッドファーザーの名にも価値が生まれました。

ただ、それがファンの期待を裏切ってしまう結果になったのです。

 

もし「マイケル・コルレオーネ」として世に送り出されたら見方は変わっていたと思います。

私の中でPART3はマイケルの最期を収めたものであって、ゴッドファーザーではありません。

仮にゴッドファーザーPART4が製作されていたら、それこそがゴッドファーザーPART3です。

キャラクターのバランスが悪い

PART2から引き継いだキャラクターに関しては特に問題はないのですが、新たに加わったキャラクターの雰囲気が残念なものになっています。

そのキャラクターはアンディ・ガルシア演じるヴィンセント。

とにかく怒りっぽいソニーの性格を引き継いだヴィンセントなのですが、ソニーの場合はゴッドファーザーの中で存分に生きるものでした。

ファミリーを守る作品の雰囲気にはピッタリ合うし、まさに血の匂いがする役でした。

一方ヴィンセントは、PART3の作風と全く合っていない。

アンタッチャブルみたいな娯楽寄りになってます。

それに結構大切なポジションなのに、すぐチンピラみたいな行動に出ます。行動に知性も感じられません。

彼が三代目...?

トムを消した

ゴッドファーザーを支えたといっても過言ではないトムをなんと消しました。

もうすでに亡くなった設定にしたのはビックリです。

出演料の問題らしいですが、そこで消す!?

驚きです。

コッポラ家を集めすぎた

そもそもゴッドファーザーはコッポラ家がよく集まります。

音楽や役者、様々な面で。

それが悪いことではありません。

ファミリー映画をよりリアルに感じ取れます。

           が

メアリーの役をまさかの、娘のソフィア・コッポラに...。

当初はウィノナ・ライダーの役だったはずが、なんだかんだあって、変更になったそうで。(トムを消して、次は...)

そこに代わって役を演じることとなったのです。

これは世間的にかなり批判があったみたいで、当時のラジー賞にノミネートされています。

また親の七光りと言われたり、世間はゴッドファーザーに関わるコッポラ家の多さに困惑したようです。

(ここまでするなら、ニコラス・ケイジをヴィンセントに...。)

7部門ノミネート、受賞ならず

そうした様々な原因により、バッシングは収まらず、アカデミー賞で7つの部門でノミネートされるも、受賞ならず。

三作全てオスカーを掲げることはできませんでした。

 

ちなみにこの年はケビン・コスナーの年でもあり、ダンス・ウィズ・ウルブズが作品賞含む7部門受賞しました。

悲しいことにも、PART3は最悪のノミネート作品と言われています。

というのも、スコシージ監督のグッドフェローズもノミネートされており、比べるとPART3はいらないっていうことみたいです。

 

そしてゴッドファーザーの歴史に幕が下りたのです。

 

でも決して悪くはない。

ここまで文句言いましたが、実際私はPART3が嫌いではありません。

ここがいい!ゴッドファーザーPART3

アル・パチーノの演技

本当にすごいです。

マイケルの背負ったものに苦しむアル・パチーノの演技が恐ろしく、現実的。

オスカー獲得あってもおかしくないです。

声のない叫びはアル・パチーノのキャリア史上最高の演技だと思います。

実際の事件を交えたストーリー

PART3では実際の起きた事件を絡めながら、ストーリーが展開していきます。

ゴッドファーザーの世界と現実が交わるのはファンタジーのようで面白かったです。

 

好きなとこ、二つしかなかった

 

フィルマークスのほうで好き勝手語らせてもらいました。↓

 

filmarks.com

 

ここからヴィンセントに繋いでも面白かったと思いますが、ラジー賞は目の前にありそうですね。

輸入盤・ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ・エクステンデッド版を見ていく。

今回はワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ・エクステンデッド版の輸入盤を見ていきます。

 

まず国内で出ているエクステンデッド版は恐ろしく高いです。

プレミア価格で大変なことに...。

まず40ページのブックレットが付いた通常のエクステンデッド版は現在の相場1~2万。もしかしたら3万乗るかもしれない。(定価4790円)

そしてスチールブックも存在します。

こちらもたいして値段は変わりません。1~3万です。

 

ところが輸入盤はなんと相場2000円ほど!

さらに2000円でも高いほうです。タイミングによっては1500円なんてことも!(新品)

 

実際に購入してみたのでご紹介します。

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 ↑こちらが輸入盤の中身です。

ブックレットなどはありません。ただディスクがあるだけです。

ディスクが二枚ありますが、一枚がエクステンデッド版。もう一枚は完全版です。

 

PS4で再生してみたところ日本語で始まり、字幕吹替も収録されていました。

これで2000円はお得だと思います!

 

しかし!

 

少し問題があります。

まず輸入盤ということで輸送によるケースの破損、ジャケットの破れなどがあります。

さらにディスクが中で外れて傷がついている場合もあります。

これはあきらめるしかありません。

あとケースがペラペラです。こちらが届いたときのケースです。(上の写真はケース変えました。)↓

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まとめ

日本語字幕吹替収録で2000円はお得です!

しかしこれもややこしい話、日本語が収録されていない円盤を送られる可能性もゼロではありません。

できるならプライムで出品されているのを買うこと。あとは必ず新品で購入したほうがいいです。(新品でのケース、ジャケット破損は諦めましょう。)

 

いろんな意味でジョーズを超えたオルカ。

今回紹介する映画はジョーズのブームに乗っかって製作された一本の「オルカ」

オルカ<HDリマスター版> [DVD]

ジョーズがヒットした後は似たようなパニック系が量産され、有名な「グリズリー」という映画も誕生しました。(海が森になっただけで物語一緒)。

その中で異色というか、明らかジョーズの後に出たんだけど中身が濃すぎるのが「オルカ」。

 

ストーリーはノーランという漁師が水族館で飼う魚を探していたところシャチの強さに惚れて捕獲をしようと考える。シャチの生態調査をしているレイチェルはノーランを止めるものの、捕獲を決行。結果は誤って妊娠している雌オルカを捕獲してしまう。さらに雌オルカとその子供も殺してしまうという最悪の結果に。雄オルカは妻子を奪ったノーランに復讐をする。

というジョーズと比べて重い。

 

はっきりいってジョーズの二番煎じではない。全く新しい映画です。

 

ジョーズオルカ、サメとシャチの描き方

サメとシャチの恐怖の描き方。

ジョーズはバカでかいサメという設定。その上に凶暴。人を選ばず襲う。そしてボコられる。

サメにはシャチほどの知能は備わっていません。そのため冒頭にサメはバックリ、オルカにバックリ喰われます。弱肉強食.....。

 

シャチには人間と変わらない知能と知識が備わっています。親から子へ獲物の狩り方を教え一つの集団を作り、その社会の中で生活します。さらにシャチの言葉は人間と変わらない情報量。まさに海の支配者、食物連鎖の頂点です。天敵も存在せず武器を持たない人間と戦えば、知能と武器の備わったシャチには敵いません。その一方でシャチは人間を意味もなく襲うことはほぼ0と言われています。

この映画オルカはノーランがいらんことしたせいで襲われる。いっちゃえば自業自得な訳です。ノーランは。しかし観てる方としては勝手にやってるだけ。だから「バカだなぁ」と思いつつ、襲うことのないシャチが襲ってる姿になぜか恐怖を覚えます。

感情移入できない人間側に感情移入できるオルカ。この映画の恐ろしいところです。人間側なのに気づけばオルカ側にいる...。

 

映像が綺麗!

昔の映画なので、撮影風景とか全くわからないのですが、冒頭のシャチの映像がすごく綺麗。本物なのかな...?どこまでが本物でどこからが偽物かハッキリとわからない。それほど完成度が高いです。ジョーズ以上です。

あ、でも本物のシャチは何の被害もなく、偽物が打たれたり復讐してます!

 

おすすめ度4/5

海のマカロニウエスタンといったところ。

この映画の主人公はオルカです。アベンジャーズ インフィニティ・ウォーでサノスが主人公なのと同じ感覚。

そのうえ、妻子を奪われ復讐に燃える姿はマカロニウエスタンの復讐をするガンマンだ。そしてその復讐を果たす相手も背負ったものを壊されている。

原案などもマカロニウエスタンに関係した人たちばかりでその色が良く出てる。

 

そしてサメではなく、シャチという高度な知能から繰り出される残虐性はピカイチ。

ジョーズを退かせる面白さです。もっと有名になってほしい。

実際どうなの?新仁義なき戦いシリーズ。

仁義なき戦い

仁義なき戦い 組長の首

仁義なき戦い 組長最後の日

 

この3作は仁義なき戦いの5作完結後に製作された新シリーズ、番外編です。

シリーズといっても3作全て独立した作品であり、繋がっているわけではありません。

そのため気に入った作品だけ観れる一本完結モノなので手軽ではあるかな。

新シリーズは、5作に比べると評価は低くあまり注目されない作品です。

 

僕は仁義なき戦いが大好きな映画なので引き続き新シリーズを観ていきました。これから観てみようかなっと思っている方に参考になれば幸いです。

 

 

仁義なき戦い

新 仁義なき戦い [DVD]

実質一作目のリブート作。

今作は新シリーズで最も評価が高い作品となっています。

何と言っても「仁義なき戦い」のリブートだから。面白くて当たり前ですね。

世界観をガラッと変えているものの、見ごたえはあり一作完結であることも魅力の一つだと思います。

さらに豪華キャスト。仁義なき戦いでおなじみの人はもちろん、若山富三郎も出演しており、豪華な画となっています。

 

おすすめ度4/5

完結篇を観終わった後に、もう一度新鮮な形で仁義なき戦いを観ることができ、おすすめです。

一作にまとめられた濃い内容を目に焼き付けましょう。

 

仁義なき戦い 組長の首

新仁義なき戦い 組長の首

新シリーズ第二弾!・前作「新仁義なき戦い」とは関係ありません。

ここから実録路線を抜け出しフィクションの世界へと移り変わります。

そのため多くのファンが離れたといって.....いいのかな...。

そして舞台が広島から九州へと変わります。

激しい組長交代劇を描く作品です。

 

おすすめ度3/5

豪華キャスト続きだったシリーズでは、今作のキャストでは満足できない意見も多数。

ストーリー展開にリアリティがない。

カーチェイスが見どころのアクション映画となっている。

 

ひし美ゆり子さんの演技が光る作品。女性が目立つことが少ないシリーズだったので、新鮮な画だった。

 

全体的には良い作品だと思います。しかしタイトルに「仁義なき戦い」と入れてしまえば他の作品と比べてしまい落ちてしまいます。

「文太兄ぃ 組長の首」と考えて観れば最高です。

菅原文太さんのファンなら絶対観るべし!!!

 

 

仁義なき戦い 組長最後の日

新仁義なき戦い 組長最後の日

仁義なき戦いの最終作です。

菅原文太さんが組の中で動くのが仁義なき戦いでしたが、今作は狂犬となり暴れまわります。

舞台は九州から関西。

 

おすすめ度3/5

仁義なき戦いではないです。文太兄ぃの映画です。

開幕から強烈な画で始まり、異様な雰囲気を継続してくれる。まるでホラー映画。シリーズで一番怖いと思いました。アクション映画としても面白い。

暴れまわる文太兄ぃの構図もシリーズで唯一なので良いです。

最後のほうは収集つかない状況になっているけど、そんなこと忘れるぐらい異様な作風です。

 

ただ何度も言うように仁義なき戦いではないです。

菅原文太ファンが観る作品です。

 

まとめ

仁義なき戦いはリブートということで見ごたえもあり、仁義なき戦いシリーズで観ても満足できると思います。

あくまでも番外編なので、組長の首組長最後の日仁義なき戦いとは考えず、別の作品だと思って観ましょう。

 

日本のマッドマックス ・いつかギラギラする日

邦画は洋画と比べてアクションが少なめことが多いです。

今公開されている邦画もアクションを推すことは少ないです。するとしたら時代劇だったり、アニメだったり。それはもちろん日本の映画の良さです。時代劇は日本でしか作れません。

 

でもアクションと聞けば頭に浮かぶのは、マイケル・ベイ並みの火薬。ワイルドスピードのようなカーアクションが多いと思います。

現在注目が集まるのは洋画のアクション。

その洋画のアクションを持った邦画が、1900年代には多数存在していて、その中の「いつかギラギラする日」を紹介するのが今回の内容です。

 

いつかギラギラする日 [DVD]

いつかギラギラする日の魅力

この作品は、膨大な予算を使って製作されたものの、結果としては決して良い結果ではなく、滑った作品です。

予算は約10億、それを超えて11億とも言われています。

ストーリーも、主演の萩原健一Vシネマのようだ。と言ったエピソードもあり、大作のような物語ではありません。

ざっくり説明すると現金輸送車から5千万円を盗んだギャングの一人が、金を独り占めしようとして仲間割れを起こす。仲間を射殺し、金を持ち逃走。しかしギャングのリーダーは逃げることに成功し、金を取り戻す。という5千万円争奪戦です。

この現金輸送車からお金を盗み出すという物語は実際に起きた未解決事件「三億円事件」を思い出せる内容となっており、見どころのひとつです。

日本のマッドマックス

マッドな要素はもう盛沢山!

登場人物の説明をすると、鼻にガーゼの男、チャラい男だけどやばいやつ、めちゃくちゃ見てほしい女、白い粉でハイの死神。

一人一人の個性がとんでもなく濃いのです!

 

そしてアクションの見どころはカーチェイス

約20台のパトカーに加え、ギャングたちの車も走り抜ける!

車が宙を浮き、壁にぶつかり、銃の弾を無数に受ける。

そして車から銃を撃つ。

お高い車も全部破壊←予算が膨れ上がった原因

バスも横転!

全員車から降りても撃って、また乗る。

これほどド派手なアクションは日本で、この「いつかギラギラする日」しかないです。

 

気狂いピエロを観た感想。

ネタバレを含みます。

 

 

ゴダール映画に出会ったのは「アリスインワンダーランド」の話題になった時。

現実に起こりうる悪夢を描いた「ウィークエンド」は夢のような美しい世界ではなく、現実的に押し寄せた「アリスインワンダーランド 」だ。

ウイークエンド Blu-ray

ゴダール映画は好き嫌いがハッキリと別れる映画でもある。

10人に6人は嫌い、意味不明というかもしれないぐらいだ。

その理由としてあげられるのが台詞と映像の脈力のなさ。

と言っても台詞は仕方ない部分もある。

字幕がおかしい場合がゴダール映画には存在するから。

そこで字幕なければ観て感じろ。という芸術映画へと変貌する。

 

今日紹介するゴダールは、気狂いピエロ

男女の破滅的な逃走劇を描くこの作品はゴダールを代表する一作だ。

 

気狂いピエロ [DVD]

気狂い

タイトルの「気狂い」の正しい読み方は「きちがい」。

表現の規制などで稀に「きぐるい」と読ませる場合があるものの、タイトルにふりがなはなく、正しい読みで間違いはない。

この映画には多数の気狂い要素がある。

それは「ピエロ」と呼ばれるジャンポールベルモンド演じるフェルディナンの周りにまとわりつく愛。

愛によって振り回され、最後には命を落としてしまう。我に帰った時には既に取り返しのつかない状況に陥るのは、どうしようもない。

 

ピエロ以外の気狂いは、どこかというと映画全体が気狂いです。

構成が不可思議。

映像から観て取れる情報量が多い。が、しかし会話から得る情報は極端に少ない。さらに映画とは関係ない。

その交差する部分が面白く、コメディ調な雰囲気も少し感じ取れます。

さらにデッドプールのような力を発揮する場面も。

観てる視聴者に合図を送ってきたりと、決して暗い気狂い要素だけが詰まった作品とは違うのです。

 

説明するのが全体的に難しい映画なので、「観たらわかる!」と言いたくなります。

 

原作がある?

この映画には、一応原作となるライオネル・ホワイトの小説があります。

ただ物語のベースを敷いただけで、ほとんどはゴダールオリジナルです。

 

好きなシーン

見所が集まった一本ですので、好きなシーンは沢山あります。

ミュージカルな雰囲気を持った「私の運命線」や、やはりラストの顔を青く染め、爆弾を巻きつけドーン!💥

その後静かに映し出されるギラギラした海などなど。

こうしてみると、何個かテーマに分かれて映し出してる気もします。

 

観終わって一番思ったこと

北野武監督の「ソナチネ」は気狂いピエロの影響をかなり受けた作品だと聞いていました。

比べてみるとかなり似てます。

むしろ北野武監督の初期の時代1〜4の中で暴力による三部作とも言われる「その男、凶暴につき」「3-4×10月」「ソナチネ」はゴダールの影響がかなり出てると思いました。

その男、凶暴につき」はLA大捜査線が濃く現れているので別ですが、「3-4×10月」。これはゴダールです。気狂いピエロです。

あの有名なたけしが大きな草の前でソッといるシーンも気狂いピエロですし、白昼夢を彷彿とさせる演出はゴダール

これを日本版に持ち返したのは凄いと思いました。

 

でも結局わからん気狂いピエロ

日本語字幕で観てる時点で、これは本来の気狂いピエロではないんだなって、最終的に思いましたね。訳が若干違うんですね。日本語での取り方では、微妙なズレが生じて大きくなるんですね...。

2回目以降なら気合で字幕なしで観れそうではあります......